ピアノと冒険の記録

ドイツ留学4年目に入ったので、何か形に残るものを始めようと思い立ち、ブログを始めました。

目次
Goethe Zertifikat B1 独学攻略法
ドイツ旅行・留学 おすすめの持ち物
音楽用語のドイツ語が学べる便利な本

アメリカ体験記⑤ 本番

ほとんど合わせの時間は取れなかったが、1度マスタークラスでジェリーとラフマニノフ チェロソナタを演奏させていただける機会を得た。
彼と一緒に弾けたことは何よりに良い経験になった。


とにかく弾くことが楽しかった。

ドヴォルザークの五重奏も、コンサートに向けて毎日の集中的なリハーサルとレッスンが大詰めに入った。

 

それと共に、衝突することも増えた。

 湿気った練習室の条件も相まって、音程やバランス、音の作り方、メロディーの浮き立て方……真剣さゆえに衝突するのだ。

 

1楽章の合わせだけでも、なかなか終わらない。


音楽ってこういう風に組み立てていくのか、という勉強になる。

 

中でも本当に勉強になったのは、
ピアノのアン・シャイン先生、
ヴァイオリンのアール・カーリス先生、
ヴィオラのスティーヴン・テネンボン先生、
チェロのユリア・リヒテン先生、
ヴァイオリンのアイヴァン・チャン先生らの
特別レッスンである。

 

日本で知られているか分からないが、いずれもカーティスやジュリアード、アメリカ各地、また香港で活躍されている、素晴らしい先生方である。

 

特にアン・シャイン先生のレッスンは、私が現在師事しているドイツの先生のおっしゃることに似ていて、どことなく親近感がわいた。

「ドヴォルザークは、シューベルトを尊敬していたの。
だから、エネルギッシュなように思えて、アグレッシブな部分は1つもないのよ」
とチェロのユリア・リヒテン先生が言っていたこの言葉が印象強かった。

 

どこか東洋を思わせる、そのいい意味で泥くさくジプシー的な響きは、まさしく東洋からきた香港の3人組が見事に表現していた。

とある日は、第2ヴァイオリンのニーナの部屋に全員で集合して、一緒にプレスラーと自分たちの音源を聴き比べて意見を言い合った。


そしてこの自然に囲まれた環境が、大いに演奏に役立った。

ドヴォルザーク自身が自然愛好家だったからだ。


3楽章や4楽章の最後には、完璧なまでに満天の星空が描かれている。
まるで映像のない映画音楽だ。

 

ちょうどその場面に取り組んでいた私たちは、7月の終わり、天の川を何日間も見ることができた。

時には、真っ赤な流星を見た日もあった。


はしゃぐ私たちの間を、無数の蛍が飛んでいた。
満天の星を、そっくりそのまま地面に下ろしたみたいだと思った。

 

天の川に囲まれている気分だった。

まるでそれは、ディズニーや新海誠の映画の世界である。

 

道を照らすほどでもない、すぐ消えてしまう小さな小さな蛍の光。
そんな小さな光を、本当に美しいと思った――

 

こうやって大好きな室内楽に真剣に取り組めたことは、一生の宝物である。

 

本番は、7月終わりの夏真っ盛りの中、ステージの真ん中では寒さに鳥肌が立っていた。
短期間で仕上げねばならなかったわりには、とても濃い準備期間を経た、大切な本番となった。

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そして私のソロ、シューベルトの「さすらい人」も本番を迎える。

 


つづく